飯田市では、「NPO法人 南信州おひさま進歩」が「おひさま進歩エネルギー 有限会社」を設立し、市内の幼稚園や公民館など38箇所の施設の屋根に太陽光発電を設けると同時に、約100軒の商店街で使われる電力を年間200万kWh削減するESCO事業を20年間の契約で行う「南信州おひさまファンド」を立ち上げた。この事業は、市民からの2億150万円の投資と環境省の補助金によって行われ、出資した市民には出資額に応じて、売電収入などの利益から2%〜3・3%の配当を行う仕組みだ。こうしたエネルギービジネスへの市民参加の形は「NPO法人北海道グリーンファンド」が2001年から稼動させた風力発電から始まっており、環境投資としての投資透明性を担保した事業として期待されている。
前述の八木町および飯田市の事例は事業内容の規模が小さく、バイオマスエネルギー事業をコミュニティビジネス事業として事業採算性を確保することは非常に難しい。ほとんどの事業で国の補助金を活用している状況だ。これはバイオマス技術が非常に高額であることと、市場が小さいことでメーカー間の競争が少ないことによって設備価格の低価格化が進まないことが起因する。また一方で、特定のバイオマス資源の事業者間の取り合いが始まっており、木質バイオマス発電など事業性の高いバイオマス事業に使用されるバイオマス燃料の確保が難しくなってきていることも影響している。バイオマス資源を事業期間中、恒常的に確保できるかが今後の課題だ。
ただ、事業性を確保した場合、RPS法※2の施行により、RPS法の枠組みにおいて特定電気事業者として認定を受けさえすれば、その後の電力供給は可能となる。また、電力自由化が現在進んでおり、2005年4月には低圧(100V/200V)(小規模工場、コンビニエンスストアの電力使用量レベル)まで自由に電力を供給することが可能となった。つまり、地域のバイオマス発電によって作られた電力を、その地域のコンビニエンスストアで消費することが可能となるのである(地域の一般電力会社(東京電力など)の配電網を使用し、託送料を一般電力会社に支払うということが必要)。
このように法規制の改正も進み始めたことで、新しいビジネスの芽が出る環境が整いつつある。i‐communityではバイオマスエネルギーを対象としたコミュニティビジネスが地域のエネルギー政策 を主導していくことに注目している。 環境負荷の低いエネルギーの供給と省エネルギー化を、地域コミュニケーションのあり方から面的にアプローチできる方策を今後も提案していきたい。
※2 RPS法:RPSは「Renewable Portfolio Standard 」の略。正式名称は「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」で、2003年4月に施行された。エネルギーの安定的かつ適切な供給を確保するため、電気事業者に対して、毎年、販売電力量に応じた一定割合以上の新エネルギーなどから発電される電気の利用を義務づけ、新エネルギーなどのさらなる普及を図るもの。