「環境・エネルギー産業創造特区」に指定されたのは、八戸市とむつ小川原地区の合計17市町村。これらの地域では、実験的に電力の販売や融通が可能となることを受けて、新たなコミュニティビジネスが検討されようとしている。
エネルギー特区である青森県と八戸市では、下水処理施設の目的外使用として、処理過程で発生するメタンガスを用いたガスエンジンのコージェネレーションシステムによる発電を行い、発電されたエネルギーを市役所や小中学校で利用するという実証実験を進めている。 「八戸市 水の流れを電気で返すプロジェクト」として国の補助金を受けており、将来的には限られた地域に電力を安定供給(マイクログリッド)することを目標としている。これまで下水処理で処理が完結していたものを、メタンガスを活用して環境負荷の低い(二酸化炭素排出量の少ない)電力を生み出し、 自治体が配電設備を独自に建設し、風力発電・太陽光発電と複数の電力源と組み合わせ、地域に配電する――という電力の地産地消を実践する事例である。
下水処理施設のメタン発酵によって得られた消化ガスを燃料として発電する事業は古くから行われてきたが、得られる消化ガスは非常に少ないため、発電量も少なく、これまでは処理施設で消費されるのみであった。そこで、現在は下水汚泥を脱水したものを火力発電所で石炭と混ぜて発電する実験が行われている。この技術が確立されれば、汚泥施設のメタンガス利用のみならず、乾燥汚泥と2段階でのエネルギーカスケード利用が可能となり、よりエネルギー効率の高い施設として、下水処理施設が生まれ変わる可能性を秘めている。
すでにメタンガスを燃料源として発電事業を実施している例では、京都府八木町の家畜糞尿・食品廃棄物の処理過程で発生するメタンガスを燃料とするガスエンジンで発電し、それを売電しているという事例が有名だ。現在では、 脱水ケーキからバラの堆肥を生産販売することで、さらに事業採算性を良くしている。また、麒麟麦酒(株)取手工 場のビールの製造において発生する消化ガスのメタンから水素を取り出し、燃料電池にて発電する事業を丸紅(株) がESCO※1事業として実施している。燃料電池は現在のところ高価であるが、将来的には確実に価格が下がることもあり、ガスエンジンよりエネルギー効率の高い燃料電池もコミュニティビジネスとしては視野に入れるべきであろう。
※1:Energy Service COmpany
参考:バイオマス起源の燃料について

出典: NEF |