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応用脳科学アカデミーベーシックコース「脳と身体・記憶・情動」第1回(酒井 先生・金沢 先生・柿木 先生)

タイトル「言語の創造性と人間の脳」

講師紹介

酒井 邦嘉 (さかい くによし)先生

  • 酒井先生 写真
    【現職】
    • 東京大学 大学院総合文化研究科 教授
    【ご経歴】
    • 1992年東京大学 大学院理学系研究科 博士課程修了 理学博士
    • 1992年東京大学 医学部 第一生理学教室 助手
    • 1995年ハーバード大学 医学部 リサーチフェロー
    • 1996年マサチューセッツ工科大学 客員研究員
    • 1997年東京大学 大学院総合文化研究科 助教授
    • 2012年東京大学 大学院総合文化研究科 教授
    • 2013年東京大学 理学系研究科 物理学専攻 教授(兼任)
    • 2014年日本学術会議連携会員
    • 2015年中央教育審議会専門委員
  • 【研究概要】

    脳機能イメージング技術を用いて、言語脳科学を中心とした最先端の研究を行っている。言語は、脳における最も高次の情報処理システムである。われわれが母語を用いて発話したり思考したりするときには、「普遍文法」に基づく言語情報処理を行っている。人間の本性につながる普遍文法の原理が脳でどのように実現されているか、という究極の問題に取り組んでいる。

  • 【主な業績】
    • Sakai, K. L.: Language acquisition and brain development. Science 310, 815-819 (2005).
    • 酒井邦嘉 『言語の脳科学-脳はどのようにことばを生みだすか』 中公新書 (2002)
    • 酒井邦嘉 『科学者という仕事-独創性はどのように生まれるか』 中公新書 (2006)
    • 酒井邦嘉 『脳の言語地図』明治書院 (2009)
    • 酒井邦嘉 『脳を創る読書-なぜ「紙の本」が人にとって必要なのか』実業之日本社 (2011)
    • 酒井邦嘉(編)・曽我大介・羽生善治・前田知洋・千住博 『芸術を創る脳-美・言語・人間性をめぐる対話』 東京大学出版会(2013)
    • 酒井邦嘉 『考える教室』実業之日本社 (2015)
    • 酒井邦嘉 『科学という考え方-アインシュタインの宇宙』 中公新書 (2016)
    • 酒井邦嘉 『高校数学でわかるアインシュタイン-科学という考え方』 東京大学出版会 (2016)
    • 2002年第56回毎日出版文化賞、2005年第19回塚原仲晃記念賞受賞
    • 研究室ホームページ:▶http://mind.c.u-tokyo.ac.jp/index-j.html

開催概要

講義内容
 身近な言語能力から、脳の不思議や人間性の本質について考えてみたいと思います。人間の言語は、「再帰的計算」という本質的な特徴を備えています。再帰的計算に基づく階層的な構造は、自然言語である音声言語や手話にはもちろんのこと、芸術作品にまで反映されていて、興味深い性質です。我々のグループは文法処理に選択的な脳活動をfMRIで調べて、「文法中枢」が左下前頭回と左運動前野外側部であることを明らかにしました。さらに文法判断を適切に調べることで、文法中枢の損傷に伴う文法障害(失文法)を明らかにしました。以上の成果は、言語の核心となる文法機能が大脳皮質の一部に局在するという説(機能局在論)を実証するもので、P・ブローカの流れを汲む脳科学の重要な進展です。
日時
2018/9/21(金)13:00~17:30(12:40より受付開始)
※ 酒井先生のご講義は、13:00~14:20です。
場所
▶ワテラスコモン(御茶ノ水)
(東京都千代田区神田淡路町2丁目101番地)
お問い合わせ先
本アカデミーに関するご質問等は、応用脳科学コンソーシアム事務局ホームページの ▶お問い合わせフォームより、お問い合わせください。

タイトル「乳児の視覚と脳の発達」

講師紹介

金沢 創(かなざわ そう)先生

  • 片岡先生 写真
    【現職】
    • 日本女子大学 人間社会学部 心理学科 教授
    【ご経歴】
    • 1991年京都大学文学部心理学専攻卒業   
    • 1996年京都大学理学研究科霊長類学専攻単位取得退学
    • 2001年淑徳大学社会学部 心理学科 専任講師 
    • 2003年淑徳大学社会学部 心理学科 助教授  
    • 2008年日本女子大学人間社会学部 心理学科 准教授
    • 2011年放送大学 客員准教授
    • 2013年日本女子大学人間社会学部 心理学科 教授  (現在に至る)
    • 2013年放送大学 客員教授  (現在に至る)
  • 【研究概要】

    選好注視法および馴化法と呼ばれる実験心理学の手法を用いて、主に1歳以下の乳児の知覚発達過程を研究しています。具体的には、動き、形、色、重なり、立体、影、などの視覚科学の分野において検討されてきた様々な視覚刺激を駆使し、その獲得過程を検討していくことが主な専門分野です。最近では、物体の知覚や質感の知覚など、世界が安定し見えるいわゆる「恒常性」に関わる知覚がどのような過程を経て獲得されていくのかを、データに基づき考察しています。また、NIRS(近赤外分光法)を用いて乳児の顔認知に対する脳活動を計測し、顔認知に関する脳の発達についても検討を行っています。さらに同様の手法を用いて、発達障害児の脳科学的な検討もあわせて行いながら、脳の発達過程の定型と非定型についても検討しています。

  • 【主な業績】
    英文論文
    • Ujiie, Y., Yamashita, W., Fujisaki, W., Kanazawa, S., & Yamaguchi, M.K. (2018). Crossmodal association of auditory and visual material properties in infants. Scientific Reports. 8, 9301.
    • Kobayashi, M., Macchi Cassia, V., Kanazawa, S., Yamaguchi, M. K., & Kakigi, R. (2018). Perceptual narrowing towards adult faces is a cross-cultural phenomenon in infancy: A behavioral and near-infrared spectroscopy study with Japanese infants. Developmental Science, 21(1), e12498. doi: 10.1111/desc.12498
    • Sato, K., Kanazawa, S., & Yamaguchi, M. K. (2016). Infants' discrimination of shapes from shading and cast shadows. Attention, Perception, & Psychophysics, 78(5), 1453-1459. doi:10.3758/s13414-016-1114-7.
    • Geangu, E., Ichikawa, H., Lao, J., Kanazawa, S., Yamaguchi, M. K., & Caldara R., Turati, C. (2016). Culture shapes 7-month-olds' perceptual strategies in discriminating facial expressions of emotion Current Biology, 26 (14). R663-R664.
    • Yang, J., Kanazawa, S., Yamaguchi, M.K., & Kuriki, I. (2016). Cortical response to categorical color perception in infants investigated by near-infrared spectroscopy. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America. 113(9), 2370-2375.
    • Otsuka, Y., Ichikawa, H., Clifford, C.W.G., Kanazawa, S., Yamaguchi, M.K. (2016). Wollaston's Effect in Infants: Do Infants Integrate Eye and Head Information in Gaze Perception? Journal of Vision, 16(3):4, 1-8.
    • Yang, J., Kanazawa, S., Yamaguchi, M.K., & Motoyoshi, I. (2015). Pre-constancy vision in infants, Current Biology. 25(24), 3209-3212.
    • Yang, J., Watanabe, J., Kanazawa, S., Nishida, S., & Yamaguchi,M.K. (2015). Infants' visual system non-retinotopically integrates color signals along a motion trajectory. Journal of Vision, 15(1):25, 1-10.
    • Ichikawa, H., Nakato, E., Kanazawa, S., Shimamura, K., Sakuta, Y., Sakuta, R., Yamaguchi, M.K., & Kakigi, R. (2014). Hemodynamic response of children with attention-deficit and hyperactive disorder (ADHD) to emotional facial expressions. Neuropsychologia 63, 51-58. doi: 10.1016/j.neuropsychologia.2014.08.010.
    • など

開催概要

講義内容
私たちの研究室ではこれまで、高次な視覚機能の形成過程を解明するため、乳児を対象とした視覚実験を行ってきた。具体的には、前進運動の際に生じる視野の流れ、重なりや奥行の知覚、主観的輪郭、影と動きの統合、色と動きの統合、などの発達である。その結果乳児は、1)首が座り始める2か月ごろにおこる、反射の段階から皮質の段階への発達、2)両眼視が成立する5カ月ごろの、重なりや奥行をもつ立体的な世界への発達、3)手を伸ばしてモノがつかめるようになる7か月ごろの、リアルな空間の発達、などの主要な段階を経て、オトナと同じような視知覚空間を獲得していくことが明らかとなった。本講演では、この発達段階を、その実験的方法論を含めて解説していく。
また、我々のグループでは、NIRS(近赤外分光法)を用いて乳児の顔認知に対する脳活動を計測し、脳科学的にも乳児の顔認知の発達を検討している。この手法は、fMRIなどに比べれば簡便であり、乳児の脳の発達のみならず発達障害児の脳活動を調べることにも適している。当日は、これら発達障害児の脳科学的な研究成果もお話ししながら、総合的に視覚認知の定型および非定型の発達について考えていきたい。
日時
2018/9/21(金)13:00~17:30(12:40より受付開始)
※ 金沢先生のご講義は、14:30~15:50です。
場所
▶ワテラスコモン(御茶ノ水)
(東京都千代田区神田淡路町2丁目101番地)
お問い合わせ先
本アカデミーに関するご質問等は、応用脳科学コンソーシアム事務局ホームページの ▶お問い合わせフォームより、お問い合わせください。

タイトル「神経イメージング手法を用いたヒトの顔認知機構の解明」

講師紹介

柿木 隆介 (かきぎ りゅうすけ)先生

  • 酒井先生 写真
    【現職】
    • 自然科学研究機構 生理学研究所 システム脳科学研究領域 統合生理研究部門 教授
    • 国立大学法人総合研究大学院大学 生命科学研究科 教授
    【ご経歴】
    • 昭和53年九州大学医学部卒業 九州大学医学部付属病院にて研修(内科、神経内科)
    • 昭和57年佐賀医科大学内科 助手
    • 昭和60年ロンドン大学医学部留学(62年に帰国)
    • 昭和62年佐賀医科大学内科 助手に復職、その後講師に昇任
    • 平成5 年岡崎国立共同研究機構 生理学研究所 教授
    • 平成16年法人化に伴い、施設名称が自然科学研究機構に変更
  • 【研究概要】

     脳波、脳磁図、機能的MRI、近赤外線分光法(NIRS)などの手法を用いて、ヒトを対象とした高次脳機能研究を行っている。
    主要研究テーマは、「顔認知機構の解明」と「痛み・痒みの認知メカニズムの解明」である。

  • 【主な業績】
    • 1. Morita T, Kosaka H, Saito DN, Fuji T, Ishitobi M, Munesue T, Inohara K, Okazawa H, Kakigi R, Sadato N (2016) Neural correlates of emotion processing during observed self-face recognition in individuals with autism spectrum disorders.
      Research in Autism Spectrum Disorders. 26: 16-32, 2016. doi:10.1016/j.rasd.2016.02.011
    • 2. Miki K, Honda Y, Takeshima Y, Watanabe S, Kakigi R (2015) Differential age-related changes in N170 responses to upright faces, inverted faces, and eyes in Japanese children. Frontiers in Human Neuroscience. 9:263. doi: 10.3389/fnhum.2015.00263.
    • 3. Matsuyoshi D, Morita T, Kochiyama T, Tanabe HC, Sadato N, Kakigi R (2015) Dissociable cortical pathways for qualitative and quantitative mechanisms in the face inversion effect. J Neuroscience 35: 4268-4279. doi: 10.1523/JNEUROSCI.3960-14.2015.
    • 4. 柿木隆介(2015) 「記憶力の脳科学」、大和書房
    • 5. 柿木隆介(2015) 「どうでもいいことで悩まない技術」、文響社
    • 6. 柿木隆介(2017) 「世界に」かゆいがなくなる日、ナツメ社
    • 7. 柿木隆介(2917) 「脳にいいこと 悪いこと大全」、文嚮社

開催概要

講義内容
 近年、「顔認知機能」の研究が非常に盛んになってきた。顔認知は言語認知と並んで、人間が社会生活を送る上で最も重要な機能と考えられるようになってきたからである。「顔認知機能」の障害は教育現場においても様々な問題を生じている可能性がある。特に近年、自閉症の原因の1つとして「顔認知機能の障害」が考えられており、臨床的研究も急速に進んでいる。その重要性が認識され、文部科学省の新学術領域研究に、私が領域代表者として申請した「学際的研究による顔認知メカニズムの解明(略称:顔認知)」が採択され、平成20年度から24年度まで研究活動を行った(総予算約8億円)。
 本講演では、私達がこれまで行ってきた研究を中心に、神経イメージング手法を用いた顔認知機構研究の現状を紹介するため、以下のようなテーマについてお話したいと考えている。
1.静止顔の認知機構:特に「倒立顔現象」の生理学的解明
2.他人の「目(視線)の動き」を認知する機能の解明
3.意識にのぼらないような顔刺激(サブリミナル刺激)に対する反応
4.顔認知研究を用いた「おもてなし」の脳内機構の解明
日時
2018/9/21(金)13:00~17:30(12:40より受付開始)
※ 柿木先生のご講義は、16:00~17:20です。
場所
▶ワテラスコモン(御茶ノ水)
(東京都千代田区神田淡路町2丁目101番地)
お問い合わせ先
本アカデミーに関するご質問等は、応用脳科学コンソーシアム事務局ホームページの ▶お問い合わせフォームより、お問い合わせください。
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