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2009年12月24日

貸金市場における改正貸金業法の影響に関する実態調査

~今後新たな借入れが出来なくなった場合、総量規制に該当する21%が
自己破産・債務整理(過払い金返還請求を含む)を申請~

株式会社NTTデータ経営研究所

株式会社NTTデータ経営研究所(東京都渋谷区、代表取締役社長:谷口 和道、以下、当社)は、日本貸金業協会(東京都港区、会長:小杉 俊二)からの委託に基づき、貸金業登録業者(日本貸金業協会協会員及び未入会の貸金業者)を対象に「経営実態に関するアンケート調査」(回答者数:1,371)を、また、借入利用者を対象に「貸金業法改正の認知等に関するアンケート調査」(回答者数:2,000)を実施いたしました。

主な調査結果は、2009年10月26日に日本貸金業協会より公表(※)の通りですが、当社では、改正貸金業法の施行に伴う影響を中心に、追加的・補足的に分析を行いました。今般、その分析結果を公表いたします(注1) 。(分かりやすくするため、一部は協会の公表内容と重複掲載しています)

 

【主な調査結果】

1. 「非正規社員(派遣社員・パート・アルバイト)」「低所得者」等は今後新たな借入がさらに困難に 

新規での借入審査を「(今後)厳しくする」「貸付停止を予定」と回答した貸金業者の7割以上が、法改正の完全施行の影響を受ける個人として、「給与所得者」「自営業」「非正規社員(パート・アルバイト・派遣社員)」「年収400万円未満」「他社借入件数3件以上」等を挙げた。「定職がなく所得も低く、他社借入件数の多い」個人は、生活を維持するためのつなぎ資金を含めて、今後、貸金業者からの資金調達が困難となる可能性が大きい。
2. 専業主婦や低所得者層では法改正への認知が低く、専業主婦はニュースよりも利用明細書から認知

借入利用者の法改正に対する認知状況を属性別にみると、専業主婦(主夫)が最も低く(37%)、年収別にみると、「300万円以下」(40%)、「301~500万円」(51%)、「501~700万円」(57%)、「701万円以上」(63%)と、低所得者ほど低かった。貸金業者の与信厳格化の影響を受けやすいとみられる利用者層ほど、法改正に対する認知が浸透していないことが窺われた。

また、認知媒体を属性別にみると、専業主婦(主夫)は「クレジットカード会社等の利用明細書」が最も高い(45%)一方、その他の総量規制該当者・非該当者や個人事業主は「各メディアのニュース記事」が最も高かった(43%-53%)。
3. 認知が高いと、法改正内容が自分に関係すると判断する比率も高い 

また、法改正内容が自分自身に関係するかどうかを、認知の高低に分けて尋ねると、全般的に、「認知が低い(法改正に対する認知が不足している)借入利用者」は、「認知が高い(法改正内容を知っている)借入利用者」よりも、「(法改正内容が)自分に関係する」と回答する割合が低い。特に、専業主婦(主夫)や低所得者層では、その傾向が顕著となっている。貸金業者の与信厳格化の影響を受けやすい利用者層は、法改正に対する認知不足に加えて、法改正内容への理解不足の可能性がある。
4. 「低所得者」の対応はこれから、ヤミ金融被害者・接触者の対策も必要  

法改正内容が自分に関係すると認識した後の行動は、「詳しい内容を調べる」(31%-36%)が最も高く、「特に何もしない」(28%-37%)が続いた。年収300万円以下の低所得者は、総量規制該当者や専業主婦(主夫)に比べても、各選択肢への回答率が低く、取れる行動が少ないことが窺われた。

さらに、「新たな借入先を探す」を回答した借入利用者が想定している借入候補先は、「正規の貸金業者」(58%)が最も高く、「公的な貸付制度」(37%)が続いた。その一方、「家族や親族」(25%)、「友人・知人」(9%)、「ヤミ金融等非正規の業者」(5%)も少なからず回答があり、今後、ヤミ金融被害者・接触者への対策が必要となっている。
5. 法改正施行と同時に家計管理・就業支援・資金円滑化支援・ヤミ金融対策等の対応策が必要  

新たな借入れができなくなると仮定したときの行動は、「生活費を切り詰めて、現在の借入金を返済する」(54%-69%)が最も高く、「アルバイト等により収入を増やす」(18%-54%)、「生活水準を落とさず、毎月のやりくりの中で、現在の借入金を返済する」(20%-41%)が続いた。

また、総量規制該当者は「返済をあきらめて、自己破産・債務整理」(21%)、専業主婦(主夫)は「アルバイト等により収入を増やす」(54%)、「家族や親族から借りる」(28%)、個人事業主は「返済ができないため、他者・相談窓口に相談する」(20%)、「税金や公共料金の支払い繰り延べにより資金を捻出する」(16%)、年収501~700万円は「ヤミ金融等非正規業者から借りる」(12%)が相対的に高く、利用者の属性・年収に応じて、家計管理・就業支援・資金円滑化支援・ヤミ金融対策等きめ細かい対応が必要となっている。
6. セーフティネット(相談窓口)やセーフティネット貸付制度の認知は低位に留まる  

セーフティネット(相談窓口)やセーフティネット貸付の認知状況は、最も高い「弁護士や司法書士、弁護士会などの相談窓口」でも、利用者の属性や年収にかかわらず20%前後(16%-24%)に過ぎず、全般的に認知が浸透していない。
7. 業態を問わず事業コストが利息収入を上回り、今後さらに減益の見通し  

直近2期における貸金業者のコスト構造をみると、各業態とも、営業貸付残高に対する営業費用総額の比率が営業貸付金利息のそれを上回り、なおかつ、この“逆ザヤ”の幅は、拡大する傾向にある(消費者金融業態:▲2.7%→▲8.6%、事業者金融業態:▲2.6%→▲7.7%、クレジット・信販他:▲0.9%→▲3.2%)。特に、消費者金融業態では、2008年度に「利息返還費用」の比率が8.7%に達し、コスト構造が大変厳しいものになっていることが読み取れる。
2009年度に関しても、各業態とも「増益(見通し)」よりも「減益(見通し)」が上回り、厳しい経営環境の中、増益見通しが立ちにくいことが窺われる。
(※)

http://www.j-fsa.or.jp/doc/pdf/release/press/h21/091026_1.pdf、及び
http://www.j-fsa.or.jp/doc/pdf/statistics/report/091026_2.pdfを参照。

(注1) 「経営実態等に関するアンケート調査」の調査結果の各数値は協会員1,028者の集計結果である。

 

以上
 

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