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2008年9月19日

コンパクトシティ実現の鍵は7割の住民の動向にあり

~ 中心市街地の必要性に関する意識調査 ~

株式会社NTTデータ経営研究所


 株式会社NTTデータ経営研究所(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:佐々木 崇)は、NTTレゾナント株式会社の提供するインターネット・アンケートサービス「gooリサーチ」の協力を得て、実態に基づいた中心市街地活性化の糸口を探ることを目的として、中心市街地(注1)に対する意識や利用実態、消費活動の状況等について把握するため、「中心市街地の必要性に関するアンケート調査」を実施しました。
また、中心市街地に関する意識は居住地や年齢などによって異なると推測されるため、居住地と中心市街地の位置関係や都市規模、年齢層など回答者の属性別の分析も行いました。

【主な調査結果】

  1. 「中心市街地」の衰退は「商店街」の衰退である

    旧中心市街地活性化法が施行された10年程度以前と比較して衰退した中心市街地の施設として、回答者の約7割(67%)が商店街などの「小規模商業施設」を挙げており(4.1参照)、また、中心市街地の衰退原因として、「商店街などの個人経営の店舗の魅力がないため」が最も多く、45%を占めた。(4.3参照)
    この傾向は、居住都市圏が地方であるほど、また、高齢であるほど多い傾向が見られ、中心市街地の衰退、とりわけ商店街の衰退は、地方都市圏の高齢者にとって深刻な問題であると考えられる。


  2. 商店街の活性化はもはや期待されていない?

    商店街などの小規模商業施設は、衰退した中心市街地の施設としての認識(67%)に比べて、中心市街地活性化に向けて充実すべき施設としての回答は43%に留まっている。(4.2参照)
    この乖離は、「衰退しているものの活性化の必要はない」とする意見を示しており、これまで中心市街地の商店街が担ってきた役割が郊外のショッピングセンターなどに代替され、住民はもはや商店街活性化の必要性を感じていない状況がうかがえる。


  3. 郊外型ショッピングセンターのような大規模無料駐車場を整備しても中心市街地に人は戻らない

    中心市街地の衰退原因として、「郊外のショッピングセンターのように大規模な無料駐車場がないため」が二番目に多く、42%を占めた。また、大規模無料駐車場が整備された場合、中心市街地へ行く頻度が「少し増える」が最も多く41%を占めた。(4.3参照)
    ただし、衰退原因として「大規模無料駐車場の不備」を挙げている回答者は、同時に「商店街など個人経営の店舗の魅力欠如」を挙げるなど、双方をセットで選択する傾向が顕著であり、商店街等の魅力の回復がないままに大規模無料駐車場のみを整備したとしても、中心市街地への来街者が増加するかは疑問である。中心市街地での大規模駐車場整備には莫大な費用を要することから、その費用対効果に充分留意する必要があろう。


  4. 中心市街地の活性化は必要ないのか?

    中心市街地活性化の必要性と費用負担について、「税金を投入してでも積極的な活性化を推進すべき」は20%に過ぎず、「税金を投入してまで活性化する必要はない」が25%、「中心市街地の当事者が費用を自己負担して活性化を推進すべき」が18%をそれぞれ占めている。(4.6参照)
    中心市街地活性化に消極的な姿勢は、大都市圏ほど、また、年齢層が低いほど多い傾向が見られ、中心市街地活性化の必要性が幅広い人々の共通認識となっているわけではない状況が確認された。


  5. 中心市街地活性化の鍵はコンパクトシティ化

    中心市街地活性化の必要性や費用負担については厳しい意見が多い一方で、街なか居住意向については、「条件が合えば住みたい」が最も多く過半の51%を占め、 「積極的に住みたい」の11%を合わせた積極派が62%に達している。中心市街地までの所要時間が短いほど、また、年齢層が低いほど、街なか居住意向が大きい傾向が見られたが、いずれの場合でも「条件が合えば住みたい」が5割前後を占めており、条件に対応した方策によっては、街なか居住が一気に進む可能性も考えられる。(4.5参照)
    また、中心市街地で充実すべき施設として、商業施設以外にも、飲食施設(35%)や娯楽施設(24%)、文化施設(21%)、医療施設(17%)などが上位に挙げられており、多様な都市機能の集積が期待されている。(4.2参照)
    まちづくり三法の改正では、高齢者も含めた多くの人にとって暮らしやすい、多様な都市機能が集積して歩いて暮らせるコンパクトシティ (注2)の構築が一つのキーワードとなっているが、アンケート結果からも、コンパクトシティ化の潮流に合致した意向が把握された。


  6. コンパクトシティの実現は7割の住民の動向が決める

    コンパクトシティ化は、中心市街地活性化だけでなく、過度に自動車に依存しない地球環境問題の視点からも重要な問題である。中心市街地への交通手段と中心市街地までの距離の関係を見ると、概ね2㎞圏(徒歩で30分)の自家用車依存度は35%であるが、概ね5㎞圏(自動車・バスで10分)のそれは53%と大きく増加し過半を占めるため、自動車に過度に依存せず誰もが歩いて暮らせるコンパクトシティの実現のためには、少なくとも「2㎞・徒歩30分」圏に、居住機能を始めとして中心市街地に求められる各種都市機能を集積することが望ましいと考えられる。(1.1参照)
    また、現状の当該圏内の居住者は約3割(29%)であることから、コンパクトシティの実現には、残りの約7割の圏外居住者の集住促進が重要である。なお、集住促進に際しては、「充実すべき」が「衰退した」を上回っている施設である大規模商業施設、飲食施設、医療施設、文化施設など、新たな充実の期待が大きい施設のコンパクトシティ内への集積が誘引要素となり得る。ただし、これらの施設は、商店街などの小規模商業施設と一緒に選択されている傾向が見られるため、「小規模商業施設」の活性化なしに他の施設の充実を図ったとしても、中心市街地活性化が達成されないことも考えられる。

【注釈】
注1) 「中心市街地」の定義
「中心市街地」とは、「商業施設や業務施設などが集積しており、長い歴史の中で伝統や文化を育んできたまちの顔とも言うべき」地域と定義します。なお、近年に形成された幹線道路沿道の商業施設や郊外のショッピングセンターなどは、これに該当しません。
注2) コンパクトシティ
コンパクトシティとは、住まい、職場、学校、病院、遊び場など様々な機能を都市の中心部にコンパクトに集積することにより、自動車に過度に依存することなく、歩いて暮らせる生活空間を実現するまちづくり。

以上

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